Interview #02 in the Rye株式会社 代表 沖野 昇平さん

Interview #02 in the Rye株式会社 代表 沖野 昇平さん

SIBプログラム採択者を紹介するインタビュー企画、第2弾。
今回は、福島県大熊町を拠点に、「世界との出会いをすべての子に届ける」ことを目指すグローバル教育スタートアップ、in the Rye株式会社 代表の沖野昇平さんにお話を伺いました。


「地方の子どもたちが、世界を相手にできる当たり前をつくりたい」
東北・福島の町から挑む、ローカル発グローバル教育

地方に生まれた子どもたちが、世界を遠いものと感じる必要はない。

生まれ育った場所にかかわらず、誰もが当たり前に世界と出会い、自分の未来を自由に描けるように。
そんな想いを胸に、地方町村や私立学校向けに「オーダーメイド型のグローバル教育」を展開。

in the Rye株式会社は、震災で人口が一度ゼロとなった福島県大熊町を拠点に、学校現場や自治体とともに、ローカルから世界へと開く教育モデルをつくり続けています。

沖野 昇平さん
in the Rye株式会社 代表
企業ページ:https://in-the-rye.co.jp/


子どもたちが人生を自分で切り拓くチャンスを創る
地方からはじまる、新しいグローバル教育

in the Ryeでは、地方町村や私立学校を対象に、グローバル教育のオーダーメイド授業を開発しています。たとえば福島県大熊町の公立義務教育学校では、東北大学の留学生を中心に 年間のべ30か国の若者と出会える授業を提供し、子どもたちが月ごとに異なる国の文化や価値観に触れられる機会をつくっています。

授業の企画から外国人ゲストの調整までをin the Ryeが一貫して担い、学校現場のリソースでは実現が難しい部分を補っています。現在は大熊町・楢葉町をはじめ全国15の学校・自治体と連携し、ニーズに合わせた授業モデルを展開しているところです。

私たちの強みは、「地域の課題」から教育をデザインする、オーダーメイドサービスであることです。英語力の向上だけを目的とせず、児童・生徒一人ひとりの「世界への視点」「多様性の理解」「自分の言葉で伝える経験」を軸に学びをつくることで、地方でも都市と変わらない、むしろ地方ならではの深いグローバル学習が生まれています。

教育格差の現場で感じた違和感

原点は、大学生の頃から約10年間続けてきた、東日本大震災の被災地での学習支援です。
首都圏で育った私にとって、地方の教育現場で聞いた “ことば” は衝撃的なものでした。

「がんばっても意味がない」
「町の外に出なくても生きていける」
「世界なんて、自分には関係がない」

そうした雰囲気の中で、子どもたちが本来持っているはずの可能性が、環境によって閉ざされてしまっている現実を目の当たりにしました。

特にグローバル教育環境という点では、地方には外国人に出会う機会が圧倒的に少なく、世界を“自分ごと”として捉えるきっかけそのものが不足している状態でした。

英語力トップのさいたま市と比較すると、福島県全体の英語力は約3分の1というデータもあり、構造的な機会格差が存在しています。

その状況を前に、「地方の子どもたちが、世界を当たり前の選択肢として持てる社会をつくりたい」という想いが明確になり、この事業を立ち上げる決意につながりました。

大熊町というフィールドがくれる挑戦の余白

もともとは東京の渋谷で起業していたのですが、経産省主催の福島ビジネスコンテストでグランプリをいただいたことをきっかけに、大熊町教育委員会とのご縁が生まれました。
2023年に大熊町立「学び舎(や)ゆめの森」での事業採択をきかっけに、本社を大熊町へ移し、自身も移住しました。

大熊町は、東日本大震災後、住民全員が町から避難することを余儀なくされ、人口が一度はゼロになった町です。しかし、今は移住者が増え、町全体が“ゼロから未来をつくるフェーズ”にあります。
地元の方と移住者が混ざり合い、既存の価値観に縛られず、教育も産業もオープンに議論できる。そんな空気感が、この町にはあります。

また、大企業やベンチャーが集まり、新産業を生み出そうとしている最前線でもあります。
新しい教育モデルを実証し、町とともに育てていく環境が整っていることも、大熊町を活動拠点として選んだ大きな理由のひとつです。

SIB伴走支援で見えてきた、本当に向き合うべき“ひとり”

SIBでの伴走を通じて最も大きかったのは、 「顧客理解」という基本ながら究極のポイントに立ち返る重要性を痛感したことです。

当初は「100の自治体でグローバル教育を広げたい」というスケールの目標を掲げていましたが、メンタリングの中で、「まずは目の前の大熊町の子どもたちを、どこまで成長させられるのか」という問いに立ち返るよう促されました。

そこから、 「大熊町を日本一留学率の高い町にする」という、より具体的で腹落ちする目標が生まれました。

SIB修了時には、町の子どもたちが最高の形で世界へ挑戦できる環境を整え、大熊町が「日本一のグローバル教育の町」として誇れる基盤をつくっていきたいと考えています。

地方の子どもたちが世界へ羽ばたく未来へ

2030年までに、大熊町から 100名の留学生を輩出することを目指しています。また、学校だけでなく町全体の国際交流・グローバル分野を担い、地域ぐるみで子どもたちを支える体制をつくっていきたいと考えています。

さらに大熊町の成功モデルをもとに、全国100の町村・学校でそれぞれの地域性に合わせたグローバル教育プログラムを開発していくことも目標です。

そのために、自治体の教育・国際交流担当者の方、学校関係者、教育事業者、国際交流機関、地方創生事業者など、「地域の教育から未来を変えたい」と考える仲間たちと出会いたいと思っています。

私は、地方にこそ、子どもたちの可能性を大きく伸ばせる余白があると感じています。詰め込み教育ではない、そこにしかないローカルな環境で生まれ、グローバルな視野を獲得していく―—

生まれた場所による教育格差は、この日本の中にすらある。私は、地方の子どもたちの可能性を広げることが、日本全体の大きな底上げになると確信しています。

生まれた環境に左右されない学びの環境を整え、世界を自分の舞台として選べる未来を、地域の皆さんとともに実現していきたいと考えています。


「連携したい」「応援したい」と思った方へ

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SIBでは、以下日程で、採択者と直接出会える機会も予定しています。

2月11日(水・祝)成果発表会「東北ソーシャルイノベーションサミット」in 仙台

■ 3月12日(木)ミートアップイベント in 東京

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