仙台市主催SIB、3/12に「東京Meet Up Day」を開催

仙台市主催SIB、3/12に「東京Meet Up Day」を開催

東北発の社会起業家6名が東京で事業ピッチを披露。地域から社会を動かす挑戦が、次の協創へ

仙台市は2026年3月12日(木)、Tokyo Innovation Base(TiB)にて、社会起業家支援プログラム「TOHOKU SOCIAL IMPACT BOOSTER(以下、SIB)」の成果発表イベント「東京Meet Up Day」を開催しました。当日は、第2期採択者5名と昨年度卒業生1名、計6名が登壇し、約半年間の伴走支援を経て磨き上げた事業を発表。多様な社会課題テーマを通じて、東北発の社会起業家たちの挑戦が共有されました。

仙台市は、2011年に発生した東日本大震災後、社会課題解決に取り組む起業家の育成支援に取り組み、これまで延べ90名以上を支援してきました。
SIBは、2024年度より仙台市と株式会社ボーダレス・ジャパンが連携し行う社会起業家向け支援プログラムで、今期2期目は「社会を変えるインパクトを、東北から」をコンセプトに実施する「インパクトスタートアップ創出事業」として、仙台・東北を活動拠点とする社会起業家6組へ昨年9月から約半年間にわたり、講義、メンタリング、成果発表会などを通じて支援を行ってきました。

本イベントは、その集大成として採択者によるピッチ及び首都圏の投資家や事業会社との「協創」をテーマにしたネットワーキングを目的としています。ゲストに、KIBOW社会投資ファンド プリンシパルの田村菜津紀氏、株式会社taliki取締役の原田岳氏、本プログラム運営会社より株式会社ボーダレス・ジャパン代表取締役COO鈴木雅剛氏が参加しました。

会場では各発表後に参加者が協業提案や応援メッセージ、投資や実証実験の可能性などを投稿できる「協創アクションシート」も案内され、ピッチを“聞いて終わる”のではなく、“次の行動につなげる”場として設計されました。

当日のピッチは、SIB2期採択者である平山英幸氏、伊藤里美氏、沖野昇平氏、三上拓也氏、服部悠大氏による事業発表と、卒業生代表として、1期生の羽山暁子氏の発表が行われました。

最初に発表した2期生の平山英幸氏(株式会社アルゴナース 代表取締役)は、子育て世代の終末期がん患者が子どもに想いを残しきれない課題に向き合い、音声AIを活用した意思継承サービスを提案しました。自身の母親の闘病体験と、看護師・研究者としての現場経験を原点に、患者が“話すだけ”で想いを未来に残せる仕組みを構想。尊厳療法の考え方を応用し、親の想いを子どもの未来へ手渡す挑戦です。

ゲストの田村氏からは、深い社会課題への共感が示される一方で、「どのような効果があるのかをしっかり検証していくこと」と「供給体制をどう構築するか」が重要な論点として挙げられました。

レックステック株式会社のケンダル氏、ハンス氏は当日欠席となりましたが、紹介動画が上映されました。発表では、ネット・ゲーム依存を「脅威」ではなく「希望」へ変えることを掲げ、人にやさしいテクノロジーによって依存の早期発見と予防支援に取り組む構想が紹介されました。自身の依存経験や孤立の体験を原点とし、まずは宮城県から東北、そして世界へ広げていく意思が語られました。

次に発表した伊藤里美氏(株式会社Aroma Care Tech 代表取締役)は、がん患者を支える家族が孤立しやすい現状に着目し、看護師との対話を通じて納得感のある選択を支える伴走支援サービスを提案しました。患者本人だけでなく、その家族もまた大きな不安と無力感の中に置かれているという視点から、治療や療養の選択、日々のケア、終末期への備えまでを支えるモデルです。

ゲストの鈴木氏は、自身の家族の看取り経験を交えながら、「専門的な知識を持って一緒に考えてくれる人がいてくれたとすると、その時もっと納得感が出ていたかもしれない」とのコメントが寄せられました。その上で、相談したい人を待つのではなく、「こういう時どうすればいいのか」と検索している人に届く設計の重要性も指摘されました。

沖野昇平氏(in the Rye株式会社 代表取締役)は、原発事故が発生した福島県大熊町で活動する中で生まれた「日本一グローバルな学校の作り方」をテーマに登壇しました。東日本大震災で被災地で学習支援に取り組む中で向き合ってきた「どうせ頑張っても無理」という地方の空気を変えるため、地方にいながら世界中の人と出会える教育モデルを構築。年間延べ30か国と接続する環境や、留学生・大学・自治体を巻き込んだ仕組みを通じて、地方こそグローバルになる価値があると訴えました。

ゲストの田村氏からは、その教育機会の格差を埋める挑戦が高く評価される一方、自治体予算に依存しすぎないための複層的なビジネスモデルづくりや、卒業生が次の世代を支える循環の構築に期待が寄せられました。

三上拓也氏(Awesome Sea合同会社 代表社員)は、障害福祉と循環型食インフラを掛け合わせた「ビアウニ」事業を発表しました。障がいを持つ娘を持つ父としての強い原体験から出発し、福祉と親和性の高い陸上養殖に着目。地元のビール残渣や廃材を活用した低コストなウニ養殖モデルをつくり、就労支援施設が工賃を払って自走できる未来を目指しています。

ゲストの原田氏からは、「実際に青森まで戻ってきて、こういった事業を作られているところがすごい」と高い評価が寄せられた一方、知財の確保や供給安定性についての質問も投げかけられました。また、田村氏からは、地域で人を巻き込みながら広げていく方法や、出口となる需要開拓も同時に進めることへの期待が示されました。

服部悠大氏(株式会社BearBell 代表取締役)は、クマなど野生動物の目撃情報をリアルタイムで共有するシステム「クマップ」を提案しました。秋田で急増するクマ出没と人的被害を背景に、既存の情報分断や人力対応の限界を乗り越えるため、トップダウンとボトムアップを組み合わせた即時情報共有システムを構想。将来的には危険回避だけでなく、自然との共生、保全、観光への展開も見据えています。

ゲストの田村氏からは、「事後対応ではなく予防から安全をつくり、さらに共生へ向かおうとする点が印象的だった」と評価が寄せられた一方、多数のPoCを走らせる中で、どこに優先的に時間を投下するかを計画的に見極める必要性も示されました。

最後に、昨年度卒業の1期生を代表して登壇した羽山暁子氏(株式会社Pallet 代表取締役)は、地域女性の力で企業の人事機能を支えるスクラムワーク型HRアウトソーシング「アッパレHR」を発表し、卒業後1年、サービスロンチから約半年間の歩みを語りました。働きたいのに働けない地域女性と、人事機能を十分に持てない地域企業という二つの課題を同時に解決するモデルで、すでに8社導入、40名が稼働、解約ゼロという成果も共有されました。

1期に伴走していた鈴木氏からは、「モデルは仮説に過ぎないが、それを修正しながら実装し、ここまで形にしてきたことが素晴らしい」と評価が寄せられました。その上で、今後はスクラムワーク型の仕組みそのものをコアコンピタンスとして磨き込み、より再現性の高い成長モデルへと進化させることへの期待が示され、卒業生へのエールを送りました。

総評では、田村氏より「地域にこそ深い社会課題があり、そこから全国に広がるビジネスが生まれることを実感した」とのコメントがありました。また、地域発の強みを生かしながら、再現性の高いビジネスモデルを構築していくことの重要性が強調されました。
原田氏からは「社会課題解決は一般的なビジネス以上に難易度が高い一方で、スタートアップ、ローカルゼブラ、NPOなど手段に優劣はなく、目的達成のために最適な方法を選ぶべきだ」というメッセージが送られました。

クロージングでは、鈴木氏が「社会が変わるのは、挑戦している人たちがたくさん生まれ、クラスター化し、お互いに協力しながら走っていく状態ができた時だ」と語り、挑戦が点ではなく群れになることの意義を強調しました。会場ではその後、集合写真の撮影とネットワーキングが行われ、登壇者と来場者が直接対話する時間が設けられました。

定員80名のところを100名を超える申込があり、東北の社会起業家への高い期待感を感じる会となりました。

仙台市は今後も、東北から社会課題解決に挑む起業家の支援を通じて、地域発のイノベーション創出を推進してまいります。東北の現場から生まれた挑戦が、地域にとどまらず、社会全体の希望へと育っていく。そんな確かな手応えを感じる一日となりました。

👉今後も東北の社会起業家を応援したい方へ
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