社会を変えるインパクトを、東北から。SIB2期成果発表会を開催!

社会を変えるインパクトを、東北から。SIB2期成果発表会を開催!

大賞にAwesome Seaの三上拓也氏、優秀賞にin the Ryeの沖野昇平氏が決定!

東日本大震災から15年。
「社会・地域のために行動する」という問いは、東北の地に深く根づいています。

その問いに向き合う起業家たちが集まったのが、2026年2月11日に開催された「TOHOKU SOCIAL INNOVATION SUMMIT 2026」です。

本イベントは、仙台市主催の2つの社会起業家支援プログラム
「Social Impact Accelerator(SIA)スタータープログラム」(一般社団法人IMPACT Foundation Japan運営)と「TOHOKU SOCIAL IMPACT BOOSTER(SIB)」(株式会社ボーダレス・ジャパン運営)の成果発表の場として実施されました。

それぞれの現場から立ち上がった挑戦が交差し、社会を変えるインパクトの現在地が示された一日となりました。

その中でもSIBは、「社会を変えるインパクトを、東北から。」を掲げ、実装フェーズに踏み込む起業家の伴走支援を行っています。

当日は100名を超える来場者が参加。
厳正なる審査の結果、SIB部門ではAwesome Sea合同会社 三上拓也氏が「大賞」in the Rye株式会社 沖野昇平氏が「優秀賞」を受賞しました。

本記事では、SIB採択者の挑戦を中心に、そのハイライトをお届けします。


開催概要

名称:TOHOKU SOCIAL INNOVATION SUMMIT 2026
日時:2026年2月11日(水)12:30-16:40(交流会 17:00-18:00)
場所:仙臺緑彩館 交流体験ホール(仙台市青葉区川内追廻無番)
主催:仙台市
運営:一般社団法人IMPACT Foundation Japan、株式会社ボーダレス・ジャパン
後援:仙台・東北スタートアップ・エコシステム・コンソーシアム 


オープニングキーノート:
株式会社雨風太陽 代表取締役社長 高橋博之氏

オープニングキーノートには、SIB講義登壇者でもあり、岩手県花巻市発のインパクトスタートアップである株式会社雨風太陽 代表取締役社長 高橋博之氏が登壇しました。

高橋氏は、「人口減少」という現代の“黒船”に対して、過去の成功体験や既存の仕組みの延長線上では対応できないと指摘。今こそパラダイムシフトが必要であると訴えました。

また、同じ花巻出身の詩人・宮沢賢治の『セロ弾きのゴーシュ』を引用し、経済合理性を追求する都市的な「町の活動写真館」と、人間性や文化を大切にする地方的な「水車小屋」の世界を例に提示。両者を“車の両輪”として共存させることの重要性を語りました。

「都市と地方で人材をシェアし、関係人口を増やすことで、経済と文化が手を取り合う新しい社会像を描くことができる」と提起。

最後に「どうにかできないのは能力の限界ではなく、執念の欠如である」と力強く語り、社会を変えるための情熱と、諦めず行動し続ける覚悟を来場者に投げかけました。

会場からは大きな拍手が送られました。


SIBプログラム採択者による事業ピッチ

SIB採択者による成果発表では、社会課題の現場から生まれた事業構想と、その実装に向けた具体的な取り組みが発表されました。(以下、発表順)

株式会社アルゴナース
代表取締役 平山 英幸 氏
発表テーマ:子育て世代の終末期がん患者の想いを、家族に伝え実現するために

看護師・研究者・AIエンジニアの顔を持つ平山氏は、子育て世代の終末期がん患者が自身の価値観や子どもへのメッセージをAIとの対話を通じて記録できるアプリ「Kanon Voice」を発表。

ディグニティーセラピー(尊厳療法)の要素を取り入れ、患者自身の心の整理と、遺される家族の精神的ケアの両面を支える仕組みです。単なる記録アプリではなく、「対話」を通じて本人の言葉を引き出す設計にこだわり、医療現場との連携も視野に入れています。終末期医療における“伝えられなかった後悔”を減らすことを目指し、実証を重ねています。

高校時代に母親のがん闘病を経験した平山氏は、「母に何もできない無力感に、泣いて過ごした日々を今も覚えています」と語り、その悔しさを原動力に事業へ取り組む決意を述べました。

交流会では、がん闘病経験のある来場者から多くの共感と応援の声が寄せられました。


株式会社Aroma Care Tech
代表取締役 伊藤 里美 氏
発表テーマ:がん患者を支える家族のケアに、看護師との対話で確かな納得を

平山氏と同じ研究室の看護師である伊藤氏が発表したのは、がん患者を支える家族を対象としたオンライン伴走サービス「Path Link」

闘病中の家族が抱える孤独や無力感に対し、看護師による継続的なオンラインカウンセリングを提供。家族が介護における「役割」「納得感」を取り戻し、患者の最期まで伴走できる状態を支援するサブスクリプションモデルです。

医療情報が溢れる現代において、専門職が継続的に寄り添うことで「正しい理解」「心の整理」を同時に支える点が特徴です。今後は医療機関や保険制度との連携も視野に入れ、家族ケアを社会インフラとして確立することを目指しています。

個別性の高いがん情報に翻弄され、不安を抱えながら過ごす家族に「安心」を届ける仕組みとして注目を集めました。


【優秀賞】
in the Rye株式会社
代表取締役 沖野 昇平 氏
発表テーマ:ノウハウ大公開!日本一グローバルな学校のつくりかた

福島県大熊町から参加した沖野氏は、都市と地方の教育格差に挑む事業を発表。

「教育格差は情報格差だけではない。大人が子どもの可能性を切り取ってしまう“雰囲気”の格差だ」と語り、都市圏の留学生と地方の学校をマッチングし、日常的に異文化交流が生まれる環境を構築するモデルを提案しました。

地方にいながら世界と接続できる環境を整えることで、子どもたちの進路選択の幅を広げることを目指しています。震災後の地域再生と教育の再設計を結びつける構想は、多くの来場者の共感を集めました。

発表では、自社ノウハウの公開を宣言し、「自分の地域をグローバルにしたい方は、お話ししましょう」と呼びかけました。


【大賞】
Awesome Sea合同会社
代表社員 三上 拓也 氏
発表テーマ:青森発・産福循環型 食インフラモデル「ビアウニ」

青森県浅虫から参加した三上氏が発表したのは、廃棄されるビール残渣を活用し、既存設備を再利用して行うウニの陸上養殖モデル「ビアウニ」

「この社会で、障がいを持つ娘を残して死ねない」

我が子が受けてきた差別や偏見への怒りを原点に、発達障がい者の特性を“強み”として活かせる製造工程を設計。雇用創出、環境配慮、地域経済活性を同時に実現する循環型モデルを提示しました。工程を分解・標準化することで再現性を高め、他地域への横展開も可能な設計になっています。

既に総合商社との契約も進み、地域発のモデルを全国、そして世界へ広げる構想を描いています。


株式会社BearBell
代表取締役 服部 悠大 氏
発表テーマ:『安全』から『共生』へ 動物目撃情報共有システム『クマップ』

秋田の大学に通う服部氏は、野生動物による人的被害を防ぐためのアプリ「クマップ」を発表。

ユーザー投稿とオープンデータを統合し、AIによる行動予測機能を実装。「出没した後」ではなく「遭う前」に回避できる社会を目指します。近年増加するクマ被害という地域課題に対し、テクノロジーで応答する若い起業家の挑戦は、会場の注目を集めました。行政や自治体との連携も進めながら、データドリブンな共生モデルの確立を目指しています。

「脅威に終止符を。安全から共生へ」と力強く訴えました。


※レックステック株式会社のフリッヅェル・ケンダル氏、ビルケダール・ハンス氏は、事情により欠席し、紹介動画が上映されました。


審査員総評
石田 陽佑 氏(株式会社TOMUSHI 代表取締役CEO)

SIBアドバイザリーを務める審査員の石田氏は、総評の中でこう語りました。

「経営者の大きな役割は、ヒト・モノ・カネ・情報を集めること。そのためには、大きなことを語ることが必要。東北で活動する人は、遠慮して大きなことを語らない人が多い中、皆さんは違う。大きく語り共感してもらい、一緒に東北を盛り上げる仲間として頑張っていきましょう。」

会場は温かい拍手に包まれました。

起業家一人ひとりの挑戦が、東北全体の未来を押し上げる――
そんな確信を抱かせる総評となりました。


📣今後のイベント:
3月12日(木)『社会起業家との協創Meet Up Day』in 東京

3月12日(木)に、東京のTokyo Innovation Baseにて『Meet Up Day』を開催します。

首都圏の投資家・企業との共創を目的に、採択者が事業のプレゼンテーションを行い、参加者とネットワーキングを行います。当プログラム期間中、最後のイベントです。
東北発の取り組みに、投資、協業、プロボノ、あらゆる形で関わりを見つけ、一緒にインパクトを創る仲間になっていただけませんか。

<概要>
日時:2026年3月12日(木)18:00~21:00(受付開始 17:30)
会場:Tokyo Innovation Base 1階 SQUARE-1(東京都千代田区丸の内3丁目8-3)
定員:80名(事前申込制/応募多数の場合抽選)
参加費:無料

<タイムスケジュール(予定)>
17:30~18:00|受付開始
18:00~18:10|オープニング/プログラム紹介
18:10~19:55|SIB採択者による事業ピッチ
20:00~21:00|ネットワーキング


イベントの詳細や参加方法、採択者の最新の動きについては、TOHOKU SOCIAL IMPACT BOOSTERの公式Instagram・Facebookで随時お知らせしていきます。
採択者の挑戦を応援したい方、協業や連携に関心のある方は、ぜひフォローのうえ、今後の情報をご確認ください。

Facebookページ:https://www.facebook.com/tohokusib
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